ジュピター

2017/11/16

ウォシャウスキー姉弟監督作「ジュピター」("Jupiter Ascending" : 2015)[BD]

平凡な女が、宇宙を支配する一族の女王の生まれ変わりだと判明した事で、地球の相続争いに巻き込まれ、やがて自らの宿命を自覚していく様を描くSFアクション作品。

ロシアの大学で教鞭をとる天体物理学者のマクシミリアンと数学者のアレクサは、結婚し、程なくアレクサが妊娠する。マクシミリアンは早々と子の名前をジュピターと名付けるが、ある夜、自宅に強盗が押し入り、マクシミリアンが殺される。アレクサはロシアから米国に移住する航海中の洋上で、ジュピターを出産する。長い歳月の後、成長したジュピターはアレクサと叔母ニノと共に、富豪向けの清掃員を生業としながら、密入国者として日陰の生活を送る。ジュピターは繰り返される味気ない日常に辟易し、そこから逃避したいと切望する。

全宇宙を支配する一族アブラサクス家の長男バレム、長女カリーク、次男タイタスは、亡き母からバレムが受け継いだ地球を巡って反目する。3人は牽制し合いながらも、それぞれが密かに地球に使者を送り込む。

ある日、ジュピターは顧客のキャサリンがエイリアン達に襲われているところを目撃し、咄嗟に撮影する。ところがエイリアン達に察知された途端、何事も無かった様に記憶が消えてしまう。ジュピターは、いとこから卵子の提供による小遣い稼ぎを提案され、予てから欲しかった高額な望遠鏡を購入する為に応じる。ジュピターはキャサリンの偽名を用いて、不妊治療センターで施術を受けるが、それはバレムの刺客が仕組んだ罠で、エイリアン達はジュピターのDNAを採取し、本人確認した後、ジュピターを殺そうとする。そこに伝説のハンターと称される、宇宙連邦の元傭兵スカイジャッカーのケイン・ワイズが現れ、エイリアン達を撃退し、ジュピターを救出する。ケインは地球外生命体の存在を明かし、自らを遺伝子操作で誕生した狼と人間のハイブリッドだと告げると、エイリアン達が偵察隊で、その目的がジュピターの殺害だと伝える。

ジュピター殺害失敗の報告を受けたバレムは、刺客の増員を命じる。ケインはジュピターを連れて、宇宙船に戻ろうとするが、バレムの送ったエイリアン達が大挙襲来し、船が破壊される。ケインはエイリアン達の猛撃を躱し、戦闘機を奪取すると、反撃に転じ、エイリアン達を全滅させる。夜が明けると、ケインはジュピターを連れ、車で街を抜ける。ジュピターは破壊された建物が元通りになり、人々の記憶が操作される事を知る。ケインはジュピターが狙われるのはアブラサクス家の内紛が原因で、タイタスに雇われ、ジュピターを保護する為に派遣されたと明かす。バレムはジュピターの殺害失敗の理由を、指揮を取ったスカリカンに詰問し、次に失敗したら命が無いと告げる。

ケインは地球に潜伏する旧知の仲である、連邦のイージス軍の元軍人スティンガーの屋敷を訪ねる。スティンガーは、ミツバチの挙動から、ジュピターが女王陛下の生まれ変わりだと確信する。ケインはタイタスに雇われた事を明かし、自らの行いが原因で軍法会議にかけられ、奪われた翼と地位を元に戻すと約束する。スティンガーはバレムが地球に封鎖令を発した事を察知するが、ケインはイージス軍が迎えに来ると伝え、離脱の準備を始める。スティンガーはケインがアルビノで生まれ、小柄だった為に、タダ同然で軍隊に売り飛ばされた後、最高の兵士として成長したが、王家を本能的に嫌う余り、王家の人間に咬み付き、その責任をスティンガーが取らされた事を明かす。

真実を知りたいと請うジュピターに、スティンガーは人類の起源が10億年前のクナブルム系のオーロスという星だと明かし、地球を制覇していた恐竜を絶滅させた後、人類の入植が始まり、アブラサクス産業により人間のDNAと固有種を掛け合わせた種が「作付け」されたと説く。更に、地球が維持できる人口を超えるまでに増殖した今、収穫の時だと告げる。

その時、バレムの刺客が屋敷に到着し、襲撃を開始する。ケインが敵と応戦している隙に、スティンガーはジュピターを連れ出そうとするが、待ち受けた敵に退けられ、ジュピターは畑に逃げ込む。そこで敵の中に潜り込んだスパイが仲間割れをし、ジュピターを捕獲し、宇宙船に連れ込むと、地球から離脱を図る。ケインは既のところで宇宙船にしがみつき、同時にワープする。

バレムはカリークの思惑を見抜き、地球の人類の早期収穫計画を、翌日から実行する様に、側近のナイトに命じる。アルカザールに引き渡されたジュピターは、宮殿で主のカリークと対面する。カリークはDNAが宇宙の鍵を握る存在だと説き、全く同じ配列のDNAが再び現れる現象が輪廻転生であり、ジュピターが母の生まれ変わりだと告げる。更にカリークは1万4千歳であり、母が9万1千歳で何者かに殺された事を明かす。ジュピターはカリークがテクノロジーの力で細胞を入れ替え、若返る様子を目の当たりにする。カリークはジュピターの即位により、バレムに代わってジュピターが地球を所有する事になると告げる。その時、宮殿にケインがジュピターの救出に現れる。アルカザールにイージス軍の艦艇が到着し、ジュピターを乗せると、オーロスの連邦本部に向かう。一方、バレムはスカリカンを処刑すると、グリーガンに改めてジュピターの連行を命じる。

イージスの艦艇が連邦本部に着くと、ジュピターは即位手続きに臨み、正式に即位を果たす。その直後、スティンガーがケインを欺き、タイタスが派遣した部隊に手助けし、ジュピターを拉致させる。タイタスの船に連行されたジュピターは、女王として地球へ帰す様に命じ、その代わりにタイタスとの夕食に応じる。ケインはタイタスとの契約違反で牢獄に入れられる。タイタスは母と特に親しかった事を明かし、バレムとカリークが商売敵の関係で、地球を失えばバレムの失脚に繋がると伝える。タイタスはジュピターに人間から造る命水を見せ、アブラサクス製が最高の品質だと告げると、地球が宇宙に何千とある農場の一つで、収穫が家畜の処理と同じだと説く。タイタスは、母が晩年、考えを変え、収穫を嫌い、事業を中止しようとして殺された事を明かし、母の遺志を告げば同じ様に殺されてしまう為、自分の相続人になって欲しいと、結婚を申し出る。

イージス軍に捕らえられたスティンガーは、タイタスの船と交信させられ、タイタスがクレオペデス星雲にいる事を掴む。タイタスはジュピターを欺いている事を明かした上で、ケインを宇宙へ放り出す。ケインは咄嗟に射出した宇宙服を装着して、辛うじて難を逃れる。その後、タイタスの船はワープでその場を後にする。

地球のジュピターの家族の元に、グリーガンらバレムの刺客が現れ、全員を攫う。ケインはイージスの艦艇に救出され、一命を取り留める。タイタスは結婚が罪の無い人々を救う契約にすぎないと、ジュピターの説得を試みる。更にタイタスはケインを当局に引き渡したと偽り、釈放と復職の免罪符で取引を持ちかけ、ジュピターは結婚に応じる事を決意する。スティンガーは娘のバグを修復する為の金が必要だったと明かすと、ケインはその気持ちを汲み、ジュピター救出の協力を求める。

ジュピターはタイタスとの結婚式に臨む。その時、イージスの艦艇がタイタスの船を発見し、着艦を要求するが、タイタスは拒否し、大群の敵機で防壁を張り、接近を妨害する。ケインとスティンガーはそれぞれ戦闘機でタイタスの船に突撃し、ケインが防壁を突破する。ケインは結婚の成立直前に宮殿に到達し、結婚をしたら殺されると伝え、ジュピターをイージスの艦艇に連れ戻し、タイタスを当局に引き渡す。ジュピターはケインに免罪符を渡すと、地球に帰りたいと懇願する。

地球の自宅に戻ったジュピターとケインを、ナイトとグリーガン達が待ち受け、家族と引き換えに、バレムの前で王位を放棄し、権限を譲る様に提案する。イージス軍の同行が許可され、ジュピターは取引に応じる。しかし、バレムの拠点がある木星のコロニー近傍に到着すると、グリーガンに欺かれ、イージスの艦艇はゲートから閉め出され、ジュピターはバレムの元に連行される。バレムは人生が消費だと説き、地球の人間が資源に過ぎず、利益を産む事が唯一の目的だと告げる。ジュピターはバレムが彼の母を手にかけたと悟る。バレムはジュピターの家族達を殺そうとし、退位手続きを迫る。

ケインはスティンガーにジュピターの救出を促され、単身、小型機に乗り込み、木星の大赤斑に突入する。ジュピターは収穫を阻止する為に、直前で退位の調印を拒む。ケインの突入により、重力殻に裂け目が生じ、コロニーにガスが流れ込み、自壊が始まる。ケインが宮殿を襲撃すると、バレムはジュピターの殺害を命じる。ケインはジュピターを救出すると、グリーガンらと交戦し、その隙にジュピターは家族を運び出す。コロニーへのゲートが開き、内部から船が脱出し始めると、イージスの艦艇はコロニーへ突入する。

宮殿が崩壊し、バレムとジュピターは外へ放り出される。ケインはグリーガンとの戦いを制し、ジュピターの家族をイージスに送り届けると、ジュピターの救出に向かう。崩落から逃れるジュピターの前に、バレムが現れる。バレムは自らの母を親子喧嘩の末に殺した事を明かし、ジュピターに襲いかかる。ジュピターはバレムを撃退するも、崩落に巻き込まれる。そこへケインが駆け付け、ジュピターを救出すると、離脱直前のイージスの艦艇に追い付き、共にワープし、無事、地球に帰還する。

地球を相続したジュピターは、気持ちを新たに清掃員を再開する。ジュピターの変化は周囲にも正の作用を及ぼし、親族達はジュピターに望遠鏡をプレゼントする。ジュピターは翼を取り戻したケインと再会し、愛を確かめ合う。

 

 

スケールがすんごい大きい割には、ストーリーがペラくてとっても微妙な作品。200億円近くかけてこれかよっていう溜息が方々から聞こえてきそう。ウォシャウスキー姉弟といえばマトリックスで一時代を築いたのは誰もが知るところだが、ストーリーを紡ぐ力ってこんなもんなのかな。スペース・オペラとしては手垢の付きまくった世界観と、ヌルい恋愛描写。ゴリゴリのVFXアクションはまぁ面白いとは言えば面白いのだが、10年くらい前なら新鮮味があっただろうガジェットの数々も、今となっては既視感のあるモノばかりだし。それもこれもベースとなるストーリーが貧弱だから、本来肯定できる部分もネガチブに見えてしまうのだろうな。ただIMAX 3Dで観れば、迫力だけは満点だったかも知れない。チャニング・テイタムもミラ・クニスもエディ・レッドメインも、それぞれが良い仕事をしていると思えるから、なんだかもったいない。それにしてもウォシャウスキー姉弟は、人間を作物の様な収穫の対象として扱う事に拘りでもあるのかね。

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